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  矢谷 浩司 (博士)

  東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻
准教授
インタラクティブ・インテリジェント・システム ラボ


私の研究分野は,ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(Human-Computer Interaction; HCI)とユビキタスコンピューティングです.特に,ユビキタスコンピューティング環境や携帯端末における,センシング技術の開発とその応用,それから,自然言語処理技術を用いたインタラクティブなシステムの構築を現在の研究の主軸としています.また,質・量的評価手法を用いたインタラクティブシステムの評価にも興味があります.HCIとユビキタスコンピューティング以外では,機械学習,統計的分析手法,自然言語処理,心理学,生理学に興味を広げています.

連絡先
オフィス: 東京都文京区本郷7-3-1 工学部2号館
メールアドレス: [my_last_name] "at" ee.t.u-tokyo.ac.jp

研究プロジェクト / 発表論文 / 授業 / 英文履歴書 / HCI統計 wiki (英語)

学会活動 / 略歴 / 写真コレクション

About me    
人工知能学会誌への寄稿
2014年7月号の人工知能学会誌に,A Ph.D. - What does it Take? というタイトルで寄稿をさせていただきました.論文はこちらからダウンロード可能です.
 
 
MobileHCI 2014にて2つのHonorable mention awardを受賞
ReviewCollage(Haojian Jin,Tetsuya Sakaiと共著)とTalkZones(Bahador Saket,Sijie Yang,Hong Tan,Darren Edgeと共著)の論文がMobileHCI 2014にてHonorable Mention Award(最優秀論文ノミネート)を受賞しました.
 
 
CHI 2014にて2つのHonorable mention awardを受賞
PitchPerfect(Ha Trinh,Darren Edgeと共著)とTurningPoint(Larissa Pschetz,Darren Edgeと共著)の論文がCHI 2014にてHonorable Mention Award(最優秀論文ノミネート)を受賞しました.論文はこちらからダウンロード可能です(PitchPerfectの論文TurningPointの論文).
 
 
UbiComp 2014 Technical Program Committee
UbiComp 2014にてTechnical Program Committeeを務めます。
 
 
MobiSys 2014 Technical Program Committee
MobiSys 2014にてTechnical Program Committeeを務めます。
 
 
Statistics for HCI research
HCIの研究に役に立ちそうな統計分析手法のwikiを公開しました。(英語のみ)
 
 

Research    
韓国の大学生におけるスマートフォンの使い過ぎに関する調査研究  
スマートフォンの使い過ぎによる影響として、睡眠障害や注意力不足などが起こりうることが認知されてきている。我々は使い過ぎに関係するスマートフォンの使用状況を調査した。95人の大学生が我々の調査に参加し、サーベイ、使用状況の記録、インタビューを行った。調査の最初の段階において心理測定法を用い、スマートフォンの使い過ぎと判断されるグループ(risk group)とそうでないグループ(non-risk group)に分けた。その後、2つのグループのスマートフォンの使用状況の違いを、全体的な使用状況と個々のアプリケーション別に分析を行った。結果、risk groupはnon-risk groupと比較してより長い時間使用し、終日の使用パターンも違っていた。また、Risk groupはプッシュ型の通知により敏感に反応し、オンライン上のコンテンツをより消費する傾向が見られた。本論文は使用状況のデータから取り出された特徴量と心理測定法による使い過ぎの度合いをモデル分析し、インタビューによる結果とともに問題のあるスマートフォンの定量的な使用パターンを報告する。
 
   
     
TurningPoint: 話の構造をベースにしたプレゼンテーションツール  
近年のプレゼンテーションでは視覚的なスライドが用いられることが多いが、物語る(story-telling)というプレゼンテーションにおいて重要とされる部分が、様々なツールの中では軽視されている。TurningPointはスライドウェアにおいて話の構造(narrative template)を取り入れたツールである。ユーザ実験では、narrative templateによって時間を節約できる一方、様々な話の構造を試すことを阻害する可能性があるという、2つの面が明らかになった。
 
   
     
PitchPerfect: プレゼンテーションの系統だてた練習を支援するシステム  
プレゼンテーションの練習は重要でありながら、軽視されたり、非効率的な方法で行われたり、全く行われないことがある。我々はまずプレゼンテーションの練習に関する理想と現実を調査し、スライドウェアにおける練習を支援するシステムのデザイン要件を明らかにした。我々のユーザ実験において、実験参加者はPitchPerfectを用いることで、プレゼンテーションの全体的な質の向上とともに、内容をより多く網羅することに成功した。また、PitchPerfectはスライドやノートの内容の理解、時間の管理、そして自信の強化に貢献することが分かった。
 
   
     
Escape-Keyboard: 携帯タッチスクリーン端末における片手文字入力手法  
携帯端末における文字入力手法は、ユーザが画面を常時見ることができることが前提としてデザインされているものが多い。しかし、現実には画面を注視できない状況で端末を利用することもある。本研究ではEscape-Keyboardという、画面を見ることなく文字入力を行える手法を報告する。Escape-Keyboardでは、スクリーンを押さえる場所とその後のフリックの方向によって、入力される文字が決定される。我々の16セッションにわたるユーザ実験では、画面を見ない条件下では、平均14.7 WPM、 4.4%のエラー率、画面を見ることができる条件下では、16.8 WPM、 1.7%のエラー率で入力できることが分かった。 また実験参加者がキーのレイアウトを覚えることに難しさを感じていたことが分かった。2つ目の実験ではこの学習のしやすさを高める方法に関して議論を行った。さらに、画面を見ない状況下での理論上の入力速度をモデルを用いて推定し、39 WPMまで到達する可能性があることを示した。
 
   
     
SidePoint: A Peripheral Knowledge Panel for Presentation Slide Authoring  
Presentation authoring is an important activity, but often requires the secondary task of collecting the information and media necessary for both slides and speech. Integration of implicit search and peripheral displays into presentation authoring tools may reduce the effort to satisfy not just active needs the author is aware of, but also latent needs that she is not aware of until she encounters content of perceived value. We develop SidePoint, a peripheral panel that supports presentation authoring by showing concise knowledge items relevant to the slide content. We study SidePoint as a technology probe to examine the benefits and issues associated with peripheral knowledge panels for presentation authoring. Our results show that peripheral knowledge panels have the potential to satisfy both types of needs in ways that transform presentation authoring for the better.
 
   
     
HyperSlides: Dynamic Presentation Prototyping  
Presentations are a crucial form of modern communication, yet there is a dissonance between everyday practices with presentation tools and best practices from the presentation literature. We conducted a grounded theory study to gain a better understanding of the activity of presenting, discovering the potential for a more dynamic, automated, and story-centered approach to prototyping slide presentations that are themselves dynamic in their ability to help presenters rehearse and deliver their story. Our prototype tool for dynamic presentation prototyping, which we call HyperSlides, uses a simple markup language for the creation of hierarchically structured scenes, which are algorithmically transformed into hyperlinked slides of a consistent and minimalist style. Our evaluation suggests that HyperSlides helps idea organization, saves authoring time, creates aesthetic layouts, and supports more flexible rehearsal and delivery than linear slides, at the expense of reduced layout control and increased navigation demands.
 
   
     
Communication and Coordination for Institutional Dementia Caregiving in China  
With a general trend worldwide towards greater life expectancies, interventions and tools that can help caregivers working in elder care are becoming increasingly important. In China, with a greater number and proportion of elders due to the long-term effects of the one-child policy, these interventions and tools are needed even more. Improved communication between care staff of an institutional home can reduce medical errors and improve coordination of care. At the same time, increased conversation with elders with cognitive impairments like dementia or Alzheimer's can help the elder to maintain their cognitive ability, and can reduce negative feelings like loneliness. Our qualitative study with eleven institutional caregivers in Beijing delved into the communication patterns that exist between caregivers and elders with dementia. We found that knowing more about each individual resident's disposition and personal history was helpful in maintaining quality care, that many care staff in China use placating talk as a means to calm or guide elders to a desired action, and that care staff found the topic of past careers or past 'glories' to be the most efficient in getting elders to chat. In addition, we also found that much of the information that is gleaned through working with an elder long-term is not recorded or shared in any official capacity with other care workers, an area where technology could be particularly helpful.
 
   
     
BodyScope: 行動認識のためのウェアラブルな音響センサ  
正確な行動認識技術は様々なユビキタスコンピューティングのアプリケーション(例えば、状況を理解し、それに応じたサービスを提供するシステムや、ライフログ、個人健康管理システム)の実現に有用である。ウェアラブルなセンサ技術は環境にセンサを設置する必要なく、ユーザの行動認識に必要なデータを収集することができる。他方、様々な行動を認識しようとする場合、ユーザは幾つものセンサを身に着ける必要がある。我々は、BodyScopeという、ウェアラブルな音響センサを実装した。このセンサは、ユーザの口や喉のあたりで発生する音を用いて、食べる、飲む、話す、笑う、咳をする、といった行動の認識を行う。BodyScopeのみを用いて12種類の行動の分類をサポート・ベクタ・マシンで行ったところ、F値による精度が79.5%であった。また、我々が行った小規模の実生活における実験では、4種類の行動(食べる、飲む、話す、笑う)の分類が、F値で71.5%であった。
 
   
     
SpaceSense: 空間的触覚フィードバックを用いて視覚障碍者に地理的情報を提示するシステム  
身の回りの環境を把握することは視覚障碍者にとって、大変労力のかかることがある。点字マップは、これらのユーザが複数の場所の空間的関係を理解するのを助ける。しかし、物理的な点字マップは費用がかかる場合があったり、調べている場所に関して詳細な情報が欠けていたり、最新の情報が反映されていないことがある。我々は、SpaceSenseという、地理的な情報を提示する、携帯端末を用いたシステムを構築した。このシステムは、空間的触覚フィードバックハードウェアという、携帯タッチスクリーン端末の背面の様々な場所に振動モータが取り付けられたデバイスを用いている。SpaceSenseは振動フィードバックによって、目的地やブックマークに登録されている場所に対する、おおまかな距離や方向を提示する。SpaceSenseは、公共の場所や商業施設に関するWeb上にあるレビューコメントを要約する技術も用いて、周辺の情報を提供する。ユーザによる評価実験では、SpaceSenseを用いることで、触覚フィードバックを用いない同様のシステムと比較して、実験参加者が複数の場所の空間的な関係をより正確に把握できることが明らかになった。また、参加者からのコメントからも、触覚フィードバックが認知地図の形成と保持に役立ったことがわかった。
 
   
     
協調携帯端末システムでの同期的な動作の調整における視覚と触覚フィードバックの効果  
遠隔での協調作業の基盤システムとして、携帯端末が使われてきている。しかし、端末の画面サイズが限られているため、同期的な協調作業において相手側の状況を知るために使われる、視覚的なフィードバックの効果が制限される可能性がある。そこで我々は、共同の作業空間での同期的な動作の調整において、視覚と触覚フィードバックがどのよう影響するかを調査した。2つのユーザ実験により、それぞれのフィードバックが異なる利点を持つことが明らかとなった。視覚的なフィードバックは相手側の正確な空間的な情報を提供できるが、フィードバック自体が手や指で隠れてしまうことや、ユーザの注意を引きすぎることで、協調作業を阻害することが観察された。他方、空間的触覚フィードバックは視覚領域の情報過負荷を和らげ、ユーザの注意を穏やかに引くことができた。さらに、両フィードバックを組み合わせることで、より効率的な同期的な動作の調整ができることが示された。
 
   
     
片手でのマルチタッチにあわせたパイメニューの設計  
キーボードとマウスを使うインタラクションにおいて、右クリックで表示されるメニューに代表される、コンテクストメニューは頻繁に使われている。コンテクストメニューはアプリケーションにあるいくつかのコマンドを簡便に使えるように設計される。しかし、テーブルトップのような環境では、それらが存在しないことも多い。我々は、効率的な片手でのマルチタッチを用いたコンテクストメニューの設計を行った。設計に際し、我々は腕、手首および指の動作範囲を考慮し、それらがマルチタッチの環境での複数ターゲットの選択にどのように関係するかを調査した。我々の実験により、同時に複数の指で複数ターゲットを選択することは、1本の指で選択を行うよりも選択時間は短くなるが、同時に精度が悪くなることがわかった。これらの結果により、テーブルトップ環境における、片手の複数の指を使ったコンテクストメニューの設計を議論する。
 
   
     
1Line Keyboard: QWERTYレイアウトを応用した1列のキーボード  
現在のソフトウェアQWERTYキーボードは、携帯タッチスクリーン端末においては、多くのディスプレイ領域を使ってしまう。これにより、全体的なシステムやデバイスの使い勝手が悪化してしまうことがある。我々は、1Line keyboardという縦140ピクセル(横画面の場合、iPadのキーボードの40%の大きさ)のソフトウェアQWERTYキーボードを設計した。このキーボードは、通常のQWERTYの3列のキーを1列8個のキーに縮約したものである。8個のキーのサイズは、iPadのQWERTYキーボードのユーザの認知モデルに基づいている。さらに、キーボードは押されたキーの組み合わせに基づいて、ユーザの意図する言葉を判断する。このキーボードでは、指ではじくことでバックスペースと改行を、キーボードの下に位置する縁をタップすることでスペースを入力できるようになっている。ユーザ実験により、我々は実験参加者が1Line Keyboardを簡単に学習できることが確認でき、20分のトレーニング後、約30WPMのスピードで入力できることがわかった。また、KLMモデルを用いた分析により、熟練者の入力スピードのピークは66から68WPMになることが予想された。
 
   
     
Review Spotlight: 形容詞と名詞のセットを用いたユーザによるレビューコメントを要約するインタフェース  
Web上にあるレビューコメントは、製品や場所に関する情報を得るのに有益である。しかし、これらのレビューの量は多大であることがあり、また、長さや詳細さ、質にもばらつきがある。このため、有益な情報をそれらから手早く得ることは難しい。我々は、この問題を解決すべく、Review Spotlightというシステムを構築した。このシステムでは、形容詞と名詞のセットを用いることにより、レビューコメントの概要を示す。レビューコメントを読んでレストランを選ぶ実験において、実験参加者が詳細な理由づけとともに選択を行うことがわかった。また、通常のWebページのコメントを用いた場合と比較して、実験参加者がより速く選択を行えることがわかった。
 
   
     
足を使ったジェスチャをポケットに入れた携帯端末で認識する手法  
携帯端末のインタフェースは視覚的な注意をひきすぎることがあり、歩行などの他の動作を阻害したり、視覚に障碍のあるユーザに向かない場合がある。ユーザが歩いている際、携帯端末はユーザのポケットに入っていることがあるので、端末内のセンサにより、、足によるジェスチャが視覚も手も用いない入力として用いることができる。本研究ではまず、かかとやつま先を上げたり回転させる足のジェスチャの能力に関して調査を行った。その結果をもとに、ポケットの中や腰の横に取り付けた普通の携帯電話のみを用いて、足のジェスチャを認識するシステムを構築した。我々のシステムでは、携帯電話に入っている加速度センサを用い、機械学習の手法により、ジェスチャを認識する。実験により、10種類のジェスチャを最大86%の精度で認識できることが分かった。
 
   
     
Manual Deskterity: ペンとマルチタッチの同時入力を利用したインタフェース  
本研究ではペンとタッチによる直接入力を組み合わせたインタラクション手法を提案する。我々はユーザが紙やノートをどのように用いるかをまず調査した。それらの知見をもとに、ノートやスクラップブックのようなアプリケーションをMicrosoft Surfaceに実装した。これらにより、ペンとタッチの役割の分け方について次のように提案する: ペンは筆記に、タッチは操作に、そして、ペンとタッチの組み合わせは機能に割り当てる。この割り当て方は、ペンのみ、タッチのみ、そして、ペンとタッチの複数の入力を、本システムがどのように使っているかを、よく表現している。例えば、ユーザは写真を指で押さえて、ペンでドラッグすることで、その写真のコピーを作ることができる。また、同じようにして、ペンで切ることで、2つに分けることができる。さらに、写真を選んで押さえてから、ペンでタップすると、複数の写真を山積みにまとめることができる。このように、タッチはペンとは違い、オブジェクトの選択に使用できるが、指でオブジェクトを押さえている際は、ペンとともに様々な道具を実行につながる。この仕組みをうまく利用することで、物理的なボタンや、モードの切り替え、ウィジェットなどを用意する必要がなく、様々な機能を実現することができる。
 
   
     
SemFeel: 意味を伝えることのできる触覚フィードバックを利用した携帯タッチスクリーン端末のインタフェース  
携帯タッチスクリーン端末の1つの問題点は、ユーザに対して触覚的なフィードバックがかけていることである。このため、ユーザはこれら端末の画面を見て捜査しなければならない。本研究では、SemFeelという、ユーザが画面上の何かのオブジェクトを触っているかどうかだけでなく、そのものの意味的な情報を提示できる、触覚フィードバックのシステムを構築した。SemFeelは、携帯タッチスクリーン端末の裏側に取り付けられた複数の振動モータを用いて、縦や横に流れる振動パターンを生成することができる。ユーザ実験により、ユーザが直線的、円的な振動パターンも含めた10種類のパターンをおよそ90%の精度で識別でき、また、SemFeelが画面を視野に入れることなく操作することを実現できることが分かった。
 
   
     
オープンソースの開発に携わるユーザの図の利用方法の理解  
オープンソースソフトウェアと商業ソフトウェアの開発においては、開発者間でのコミュニケーションや共同作業の方法に、興味深い違いが現れていることがある。特に、図式の使い方に関しては、同じ場所で行われるソフトウェア開発の様々な場面で重要であり、よく研究されているが、それらのオープンソース開発での役割は解明されていない。本研究では、オープンソース開発に関わる人間がどのように図式を使うかを調査した。さらに、図式の使い方の違い、その理由、そして、オープンソース開発に向けた図式を用いた共同作業を支援するシステムを設計する際において、考慮すべき点を議論する。
 
   
     
携帯電話の持続可能性の理解: 地域に基づく制限による端末の譲渡に対する影響と譲渡の慣例について  
携帯電話の加入者数は2007年時点で、ほぼ33億となっており、今日において、使用されているユビキタスコンピューティング技術の最も顕著な例である。2005年での予測によると、毎年消費者は約1.25億台もの携帯電話を埋立てにより処分している。端末が今後も増加する中、環境に配慮した処分方法は、ユーザに不明瞭であったり、実行不可能、あるいは、知られていないものであることがある。我々は、ユーザの使用を終えた直後の端末をどのように扱うかを調査した。この研究では、北アメリカ、日本、そしてドイツのユーザにおける違いや共通点を明確にし、携帯電話の持続可能性における地域に基づく制限が及ぼす影響について議論する。
 
   
     
Escape: 視覚的なヒントを含んだアイコンを用いたターゲット選択技術  
多くの携帯端末が指で操作できるタッチスクリーンを備えている。しかし、タッチを用いる場合、ターゲットが指が隠れてしまったり、指による入力解像度が限られているため、ターゲットの選択が難しい場合がある。視覚的なフィードバックを用いて、ターゲットが覆われてしまう問題を解決手法が実現されているが、指による入力解像度の低さによって、選択速度が遅くなってしまう。本研究では、Escapeというターゲット選択技術によって、この選択速度の問題を解決する。Escapeでは、アイコンの場所と見た目によって提示されるジェスチャによって、選択が行われる。ユーザ実験では、6から12ピクセル幅のターゲットに関して、EscapeはShiftと同程度の精度でありながら、少なくとも30%速く選択が行えることが分かった。さらに、Escapeの性能を様々な条件において評価するとともに、Escapeの性能を保つために、画面上のアイテムにアイコンを適切に割り当てるアルゴリズムを議論する。
 
   
     
ユーザ静止時と動作時の携帯端末のテキスト入力手法の評価  
携帯端末において効率的な文字入力は大きな課題である。PDAのような端末では、文字入力は利き手で持ったスタイラスを用いて行われることが多い。本研究では、利き手ではないほうの親指を利用した、PDA向けの両手の文字入力手法を開発した。我々は、他の文字入力手法と合わせ、ユーザが動いていない状況と動いている状況で、評価を行った。実験の結果、QWERTYキーボードが最も速く、我々のキーボードが最も精度がよかった。さらに、ユーザが動いていない状況と動いている状況では、QWERTYキーボードの性能に大きな違いがみられたが、我々のキーボードでは、その差は見られなかった。
 
   
     
ARHunter: ジェスチャ入力を用いた没入型の複数プレイヤーもぐらたたきゲーム環境  
ARHunterは複数プレイヤーのもぐらたたきゲームである。ARHunterはジェスチャ入力と位置認識技術を組み合わせた、没入型のゲーム環境で、ユーザの楽しさを高める目的がある。
 
   
     
超音波の位相同期を用いた高速で正確な位置認識技術  
我々が実装した超音波を用いる位置認識システムでは、一度のみの超音波パケットを用いることで、デバイス間の相対的な距離と位置を正確に測定できる。我々の技術では、超音波における通信で2つ以上の搬送波を用いる。パケット内のヘッダにある同期パターンと呼ばれる、特別な超音波の信号によって、測量の基準点を設ける。実験により、3メートルの測量で、1mm前後の精度が、30度以内の角度で、0.5度前後の精度が実現できることが分かった。
 
   
     
Toss-It: 携帯端末のための直観的な情報送受信手法  
Toss-Itは、携帯端末の携帯性を利用した、情報送受信技術である。Toss-Itでは、ユーザはPDAを相手に向かって、ボールを投げたり、カードを配るように、振り上げる、あるいは横に振ることで、データを送信できる。本システムは、慣性センサと光学マーカーを用いて、ユーザの位置や動作を認識している。
 
   
     
Pi_book: 博物館での利用を想定したインタラクティブな学習システム  
我々は、Pi_bookという、博物館での子供の探索を支援するシステムを構築した。Pi_bookはPDAを用いて、展示物に関するコンテンツを提示する。これらのコンテンツは、展示物に対する子供の興味や理解を高めるために、インタラクティブになっている。本システムは子供たちが難解な科学的事象を理解することを手助けすることを目指している。
 
   
     
Musex: PDAを用いた博物館での協調学習を支援するシステム  
MusexはPDAを用いたシステムで、子供の博物館における協調学習と探索を支援するシステムである。Musexはインタラクティブではない展示物に関して、クイズを出すことにより、子供が展示物に目を向けるようにする。ユーザ実験により、子供が展示物と積極的に関わり、Musexの質問に答えようとすることが確認された。
 
   
     

Professional Activities
Program Committee AH (2013);
CHI (Interaction Techniques and Devices subcommittee; 2013);
MobiSys (2014);
Ubicomp (2012 -- 2014);
UIST (2013);
World Haptics Conference (2013)
Conference Committee Video Chair: Ubicomp (2013);
Mentoring Chair: ITS (2012)
Reviewer (Journal) ACM Transactions on Computer-Human Interaction;
IEEE Transactions on Haptics;
International Journal of Human-Computer Studies (Elsevier);
Pervasive and Mobile Computing (Elsevier)
Reviewer (Conference) ACE (2010, 2011);
APCHI (2012);
APSIPA Annual Summit and Conference (2010, 2011);
CHI (2008 -- 2012);
CSCW (2010);
DIS (2012, 2014);
GI (2014);
Internet of Things Conference (2008);
ITS (formally TableTop; 2008, 2011, 2012, 2014);
IUI (2010, 2012);
MobileHCI (2008, 2009, 2011 -- 2013);
NordiCHI (2012);
Pervasive (2010);
TEI (2012);
Ubicomp (2009 -- 2011);
UIST (2008 -- 2012, 2014);
3DUI (2009)
Reviewer (Japanese Domestic Journal) IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences;
IEICE Transactions on Information and Systems;
Transactions of Human Interface Society
Student Volunteer CHI (2010); IJCAI (2011)
     

Biography
2014年8月より東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻にて准教授として勤務.同大学にてインタラクティブ・インテリジェント・システム ラボ(http://iis-lab.org)を率いる.モバイルデバイス・ウェアラブルデバイスにおける創造性・生産性を高めるアプリケーションやシステムの開発を現在の重点研究分野としながら,モバイルデバイスにおけるインタクラクション技術,ウェアラブルなセンシング技術,量的・質的評価法を用いたユーザ調査,生産性を高めるツールの設計,障がいを持つユーザ向けのインタラクティブなシステムの開発と評価など,ヒューマン・コンピュータ・インタラクション分野の幅広い研究に従事.2003年,2005年に東京大学よりそれぞれ学士号(工学),修士号(科学)を取得.2011年にカナダ,トロント大学より博士号(コンピュータ科学)を取得.2011年11月から2014年7月までMicrosoft Research Asia,HCI groupに勤務.また,2013年10月から2014年7月まで東京大学大学院情報理工学系研究科にて,客員准教授も務めた.

2003年10月から2005年3月まで,ドコモ奨学金受賞者.2005年4月から2006年3月まで,独立行政法人日本学術振興会特別研究員(DC1)を務めた.2011年にヒューマン・コンピュータ・インタラクション分野において最高峰の国際会議である,ACM CHIにてBest Paper Awardを,2014年には2つのHonorable Mention Award (Best paper nominee)を受賞.また2014年のACM MobileHCIにおいて2つのHonorable Mention Awardを受賞.ヒューマン・コンピュータ・インタラクション分野の学術界に幅広く貢献し,ACM CHI (2013),ACM UbiComp (2012 -- 2014),ACM UIST (2013),ACM MobiSys (2014),IEEE World Haptics Conference (2013)など,HCIやユビキタス・コンピューティング,ハプティックスにおける主要な国際会議にてプログラム委員を務めた.また,ACM UbiComp (2015)では共同プログラム委員長を務める.